世界には先進国と途上国という分け方がある。
国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の17の目標にも先進国と途上国それぞれの役割がある。
衛生やトイレの普及など先進国が途上国に手を差し伸べるべき目標もあれば、地球温暖化などの環境問題のように先進国、途上国問わず取り組むべき目標もある。
また中には例外的に先進国なのに途上国の水準で、自ら先進国と意識するならば大急ぎで改善すべき目標もある。
日本とSDGsの第5の目標「ジェンダーの平等の達成」の関係だ。目標は全ての女性のエンパワーメント、つまり女性が本来持つ潜在的な能力を引き出し発揮できるようにすることを目指す。
日本がそうなっていないのを教えるのが世界の議会の女性進出に関する報告書だ。
世界の議員が参加する列国議会同盟が2018年の結果を発表したが、日本は193カ国中で165位と、もうあまり後がないような状況だ。
議会で女性が占める割合は世界平均が24・3%で日本は10・2%。世界中で1995年から13ポイント上がったが、日本は足踏み状態で中国、韓国にも離され、日本より下位は太平洋地域の小国などだ。
現状を打破すべく国会では「政治分野における男女共同参画推進法」に従って、衆参両院選挙などで男女比率をできる限り「均等」にするよう政党に努力を求めている。
今夏の参院選で女性候補はどれほどか。注目したいが、ただ推進法は努力義務を各党に課す理念法にすぎない。
列国議会同盟の報告書は世界で女性議員の比率が上がったのは候補者や議席に占める女性の割合を一定以上にする「クオーター制」が130カ国以上で導入されたためとしている。日本も世界の潮流となった同制度を導入すべきだ。
SDGsの第5の目標がターゲットとするのは男性に比べ低い識字率や人権侵害など幅広いが、日本に限っては政治分野の女性のエンパワーメント対策が急務だ。
女性議員が増えれば女性の権利や子育て、女性への暴力といった政策課題解決に政治の動きが活発になるのは間違いない。実際にこれまで男女共同参画基本法やDV(家庭内暴力)防止法などは女性議員の努力で制定された。
きょうは「国際女性デー」だが、〝途上国中の途上国〟レベルにある政治の貧困にも焦点を当てて考えたい。