学校現場の業務改善を進めるため、宇部市教育委員会は今年度、国のモデル事業を活用して、常盤中に事務職員1人を追加で配置し、実践研究を進めている。授業の準備や子どもの指導など、教員が担うべき業務に専念できる環境をつくるのが狙い。同校の教員からは「会計業務から手が離れるなど、とても助かっている」と好評だ。17日に、ときわ湖水ホールで開かれた市小中学校教頭研修会で、市教委とモデル校の担当者が報告した。
背景には、教員の長時間労働問題がある。4月に文部科学省が公表した調査によると、超過勤務が過労死ラインの月80時間を超える教員は、小学校で34%、中学校で58%に上り、学校での働き方改革が喫緊の課題となっている。
市では、6月から部活動指導員制度を導入。事務職員の増員は、業務改善のもう一つの柱だ。県では今後3年間で、時間外勤務30%削減を目指している。
常盤中に「学校運営改善推進リーダー」として配置されているのは、昨年度まで市小中学校事務共同実施会総括長を務めていた事務職のプロ、井上光義さん(60)。実践発表で井上さんは、管理職らと学校運営改善部を組織し、職員研修で周知を図りながら推進していると説明した。
具体的な取り組みは▽校内諸会計の一括処理▽出勤簿、休暇簿など帳簿の整理(1人1冊ずつのファイルで効率化)▽教科書関係事務の処理▽学校だよりや行事資料の印刷▽生徒に配布する文書の仕分け│など。
今後は「地域・保護者と学校との業務のパイプ役」などが課題とし、「業務改善には先生の意識改革が一番だが、事務職員として、ちょっとでも先生が早く帰れるよう負担軽減につなげたい」と語った。
黒瀬泰樹教頭は、部活動やノー残業デーなど勤務実態を報告。同校では教員の業務量が確実に減少し、生徒と向き合う時間が増えるなど成果が上がっている。
市教委では、校内会計事務のシステム化などを他校に普及させ、教員外でもできる仕事を担う「業務アシスタント」を国や県が導入するための研究となることを期待している。