防衛省が山陽小野田市埴生の海上自衛隊山陽受信所跡地に設置を計画している宇宙監視レーダーの住民説明会が21日、埴生公民館で開かれた。同省ではレーダーの概要や導入経緯について説明した後、人体や市民生活への影響がないことを強調して理解と協力を求めた。出席したのは地域住民ら40人で、安全面での懸念についての質問が目立った。
レーダーは主に静止軌道上で運用されている人工衛星やその周辺を監視し、宇宙ごみ(スペースデブリ)との衝突などを事前に察知するもの。直径15~40㍍の複数のパラボラアンテナで構成し、2023年度の運用開始を目指している。
説明会には同省中国四国防衛局(広島市)の宮川均企画部長らが訪れ、宇宙ごみの急増や対衛星兵器の開発で宇宙空間の安定的利用が重大な危機にさらされていることを説明し、同跡地を設置場所とした理由、設置イメージなどを示した。
安全面ではレーダーは上空に向けて電波を発射するため、人体への影響がないことを強調。テレビの受信や他の無線局への影響も含め、設計や運用には自衛隊法と電波法、総務省が示す電波防護指針を順守し、複合的な対策を行うとした。
住民からは、目に見えないレーダーに対する不安など安全面を懸念する質問が相次ぎ、設置場所のすぐ近くに住む男性からは生活への影響を心配する悲痛な声も聞かれた。環境への影響、軍事目的への転用、他国からの標的などを危惧する声もあった。
宮川部長は生活への影響の配慮を何度も説明し、「監視のみを目的としたレーダー。強力な電磁波や電波を出すわけではなく、弾道ミサイルを監視するものでもないため、他国からの攻撃対象にはなり得ない」と軍事面での危険性も否定した。
同省では理解と強力が得られるよう、工事内容などを含めて今後も必要に応じて説明していくという。