山陽小野田市学校給食センター(大塚団地)が新しく整備され2学期から市内の全小・中学校に1日約5300食の統一メニューを提供されるが、食器は従来のアルマイト製からPEN樹脂(ポリエチレンナフタレート)製に変わる。
アルミニウムの表面に酸化膜を作り耐久性を増したアルマイトは、軽くて丈夫でかさばらず、市でも長く給食の食器に採用された。一方で熱伝導率が高いため熱い汁物などを入れると手で持てず、無理してわんの上の部分をつまんで食べたり、置いたまま食べるいわゆる〝イヌ食い〟となり行儀が悪くなるのが課題だった。
このため市では県内学校の8割で使用されているPEN樹脂の採用に踏み切った。食品からの着色汚れが問題になりがちなプラスチックの中で、PEN樹脂は色移りに強く耐熱性や耐酸性、耐アルカリ性にも優れている。洗浄作業や消毒もスムーズに行えコスト、耐久性についてもアルマイトと大きな差はないという。
茶わん、汁わん、大小2種類の平皿を用意。食器には市の食育キャラクター「ねたろう食育博士」と市花ツツジのマークがあしらわれている。ポリアミド製の箸、ステンレス製のスプーンはこれまで通り。
佐藤由紀子栄養教諭(高千帆中)は「熱くないので手で持って食べられるようになる。アルマイト製は冷たい印象もあったので、新しい食器はいかにも器らしく食事の楽しさが増すのでは」と期待を寄せる。
市学校給食センターでは専用調理室を設けるなどアレルギーを持つ子どもたちへの配慮を強化するが、食器についても食材が冷めない二重ステンレス構造のものを提供する。
井上岳宏市学校給食センター所長は「これまではみんなとは別に先に盛り付け料理が冷めがちだったが、これなら温かくおいしく食べることができる」。地元帆布会社が作った緑色の専用バッグに入れ、最大で1日40人に対応する。
これまで使っていたアルマイト食器は一部を災害時の備蓄用に回すほか、残りの食器の使い道はこれから検討する。