7月の西日本豪雨をはじめ、熊本地震、九州北部豪雨など、近年、大規模な自然災害が県内と近県で続く中、宇部市社会福祉協議会が受け付けているボランティア活動保険への加入者が増えている。年間50人前後だった加入者は、熊本地震が発生した2016年度には204人と急増。今年度も10月末現在で144人を数えるなど、被災地の復旧を支援するボランティアへの関心の高さがうかがえる。
同保険はボランティアの団体や個人を被保険者として、全国社会福祉協議会が一括して損害保険会社と締結する団体契約。加入した年度内が適用期間となり、活動中のさまざまな事故による負傷や損害賠償責任を補償する。
通常の基本タイプ、余震などによる負傷を補償する天災タイプに加えて、加入直後(通常は翌日)から補償される大規模災害特例があり、市社協での年間加入者数は東日本大震災翌年の12年度から65人、22人、41人、60人と推移してきた。
16年度は熊本地震の発生が年度初めだったことも急増の一因。7月の豪雨や台風18号で九州を中心に被災した昨年度は120人が加入した。西日本豪雨では県内でも土砂災害や床上浸水の被害があり、ボランティアへの関心をより高めた。
加入窓口となる市社協地域福祉課によると、東日本大震災や熊本地震といった大規模災害を機にボランティア活動に携わって以降、災害の有無にかかわらず、毎年度保険を更新する人も少なくないという。
東岐波岐波のアパート経営、小坂浩之さん(57)もその一人。以前はボランティアに無関心だったが、4年前に会社勤めを辞めて時間的な余裕ができたため、熊本地震で被災した益城町を皮切りに、西日本各地で復旧作業に加わった。
主な作業は床下に流れ込んだ泥土やがれきの撤去。今夏は猛暑の中での作業となったが、「一日でも早く従来の生活を取り戻してほしい」と、スコップを持つ手に力を込めた。微力ながらも必要とされていることに責任と充実を感じたという。
市社協では「活動の際には情報収集に努め、体調が悪いときは無理をしないように」と呼び掛け、保険は自宅と活動場所の往復途中でも補償され、被災地では混乱も想定されるため、居住地や勤務地での加入を勧めている。