ノーベル医学生理学賞の受賞をたたえ、宇部市民栄誉賞第1号に決まっている京都大高等研究院特別教授の本庶佑(ほんじょ・たすく)さんへ贈られる賞状の製作が27日、旧小野中にある紙すき場で行われた。小野地区観光推進協議会文化伝承部会(末田昭男部会長)の指導の下、厚東川中の生徒10人が紙すきを行い、手作り和紙の賞状の原型を作った。
ノーベル賞受賞で市内の子どもたちに夢と希望を与えた本庶さんに、地元に伝わる伝統的手法ですいた和紙を用いた賞状を贈ることで、改めて感謝とお祝いの気持ちを伝えようと市が企画。厚東川中と小野地区観光推進協議会文化伝承部会に依頼して実現した。作業には同中の3年生1人、2年生9人と同部会員5人が携わった。
部会員がコウゾを加工した紙素とつなぎの役目を果たすトロロアオイの粘液が混ざった水を準備。生徒は2人ずつ、網を張った木枠をくぐらせ、均一の厚さになるようにすき上げた。各自が5回すき、重ね合わせて賞状の原型となる1枚の和紙を製作した。
最初に作業した中村創真君(3年)は「自分たちの手掛けた賞状が本庶先生に贈られるのは誇らしいこと。中学校での体験より大きな木枠を使ったので、作業の最初は緊張したけれど、うまくできたと思う」と笑顔を見せた。
生徒が作った和紙は同会が自作した装置で3日間ほど圧力をかけて水分を抜いた後、天日で乾燥させて完成を迎える。
末田部会長は「小野地区で伝わる紙すきで賞状が作られるのは光栄で名誉なこと。市民にもこの文化が広まるきっかけになれば」と語った。
本庶さんへの贈呈式は3月に京都市内で実施予定。今回作られた賞状のほか、宇部にゆかりのある記念品も贈る。