全国の将来性豊かなアスリートを発掘して育成する「ジャパン・ライジング・スター・プロジェクト」の県フォーラムは10日、山陽小野田市文化会館「不二輸送機ホール」で開かれた。来館者500人がパネルディスカッションや講演を通じ、世界で活躍できるパラリンピック競技の選手を増やす方法を探った。日本体育協会、県体育協会主催。
パネルディスカッションのパネリストは、障害者自転車競技パラサイクリングの野口佳子選手と川本翔大選手、日本パラサイクリング連盟の権丈泰巳理事長、県障害者スポーツ協会会長の藤田英二さんら元車いすマラソン選手2人が務め、「パラリンピック競技における競技力向上について」と題して討論した。
選手の職場環境について話が及ぶと、9月にロード世界選手権を制した野口選手は「薬剤師としてドラッグストアで働いているが、競技のため仕事を休ませてもらえて助かる」と感謝。「障害者競技の先輩方の努力により、周囲の理解が得られるようになってきている」と話した。
パラサイクリング日本代表の監督でもある権丈理事長は、勝つにはメンタルトレーニングが欠かせないと説明。「競技前にあえて冗談を言ってリラックスさせることもある」と、肩の力を抜くことも重要とした。他のパネリストからは緊張への対処法として、自分は強いと言い聞かせる、音楽を聴いて気持ちを高めるなどが挙がった。
野口さんと川本さんは「東京パラリンピックに出場し、金メダルを絶対にとる」と抱負。藤田さんは「障害者と一般の人が互いに手を取り合い、一丸となって競技に望めれば」と願った。
権丈理事長と日本スポーツ振興センター戦略的強化事業統括マネジャーの山下修平さんによる講演もあった。
同プロジェクトは日本スポーツ振興センターから委託を受けた日体協が日本各地で推進。パラサイクリングの拠点施設に山陽オートレース場を選んでおり、県民に同プロジェクトの意義を周知しようとフォーラムを企画した。