宇部市と、先端技術で農産物の生産と加工を行うRPGプラント(木村俊之社長、防府市)は11日、宇部テクノパーク進出協定を結んだ。同社にとって初の植物工場の建設となり、15日に着工し、9月から操業を開始する。市独自の企業誘致施策である市イノベーション大賞にも認定され、操業後に奨励金5780万円(予定額)が交付される。
調印式は、県商工労働部の伊藤孝志企業立地統括監の立ち会いの下、市役所で行われ、久保田后子市長は「持続可能な生産と販路の確保は、地域発の革新的なビジネスモデル。地元経済や雇用創出にも期待している」とあいさつ。木村社長は「最新鋭の工場で、高品質、高栄養価の野菜を生産する。食の安心安全のイノベーションを宇部から発信したい。工場内に見学スペースを設け、小・中学生の食育にも貢献したい」と語った。
同社は、山口大発のベンチャー企業であるMOT総合研究所(常盤台2丁目)と、県内を中心にスーパーを展開する丸久(防府市)の共同出資会社。同テクノパークの敷地約2100平方㍍に、発光ダイオード(LED)を用いた完全人工光型工場を設置し、レタスを主とした野菜類の栽培、加工品の生産、販売を手掛ける。
工場は鉄骨平屋建てで、広さは約1010平方㍍。生産量は、レタス換算で1日当たり2600株。設備投資額は約4億7000万円。従業員数は、新規の14人を含めた18人を予定。生産品は、丸久が属するリテールパートナーズグループのプライベートブランド商品として、傘下の257店で販売される。年間売り上げは、1億4000万円を見込んでいる。
同大賞の認定事業者は11社目。雇用機会の創出や地域貢献に重点を置き、交付金額の上限を1億円から1億2000万円に増やした2015年度の制度リニューアル後は初となる。
同大賞は、市内の産業団地に進出立地する高度技術産業、環境・医療産業などの革新的な事業を実施する事業者を認定し、奨励金を交付する市独自の制度として2010年度に創設。毎年度、5~9月、11月~翌年3月の2回募集し、これまでセイシン企業、明石被服興業、小田産業、ブルーウェーブテクノロジーズ、ロイヤル、エフエルシー、サンアロー、フジシールとフジシールウエスト(連名)、伸和精工、ユーテックが認定された。10社の合計の交付額は約7億2000万円。新規雇用者は262人。