新学習指導要領の移行措置として、来年度から小学校3年で外国語活動がスタートする。宇部市教育委員会は15日、原小(佐々木智子校長)で小学校教員向けの英語研修会を実施。文部科学省の調査官が模擬授業と講演を行い、県内の教諭約100人が新要領の意図や教材について認識を深めた。
講師は、文科省初等中等教育局教育課程課・国際政策課教科調査官の直山木綿子さん。元中学校英語教諭で、新教材の開発にも携わった。研修会には市内全24小学校の英語担当者をはじめ、県内各地から管理職を含む教諭たちが参加した。
模擬授業のテーマは将来の夢で、6年生2クラス(48人)合同で開かれた。直山さんは職業を当てさせるジェスチャークイズなどを交え、子どもたちの笑顔を引き出しながらテンポよく授業を展開。「I want to be a farmer」「You want to be a…」のフレーズを繰り返し、子どもたちの耳を慣れさせた。
消防士のファイアファイターは、火と闘うイメージを実演。獣医の英単語が分からない子どもには、どう言い換えたらいいかを皆に問い掛け「ペットドクター」「アニマルドクター」でも通じると説明した。発言が聞き取れない際に「スローリー・プリーズ」と言った児童を褒め「どの授業でも分からないときには、分かるまで諦めない。もう一回、ゆっくり言って、と伝えるのが大事」と強調した。授業を受けた持溝陽光(はるひ)君は「分かりやすくて、楽しかった」と喜んでいた。
市教委の網本徳文・学校教育課長は「英語授業の組み立て方や進め方を学べた」とあいさつ。講義で直山さんは、模擬授業の前に名札を渡しながら児童一人一人と話し、どんな子かを見極めて授業に反映させたと伝えた。参加者は洞察力の鋭さに感嘆していた。
2020年度から全面実施される新要領で、3・4年は年35時間の外国語活動、5・6年は70時間の外国語科が必修となる。移行期間の18年度からは中学年15時間、高学年50時間の英語の授業が始まる。
直山さんは「小学校でしかできない外国語教育があるから導入される。決して、中学校英語の前倒しではない。学級担任が全教科を教える小学校文化に根差した外国語教育を」と力説。▽小学校の管理職や教諭、中学校の英語科教員との情報共有▽中学校の英語科教諭に対しては専門性を生かした指導―などを訴えた。