スペイン・カステジョン市(以下カ市)などに派遣された宇部市訪問団の報告会が20日、ときわ湖水ホールで開かれた。団長を務めた久保田后子市長らが、7月2日から7日までの全日程を参加した約70人の市民に紹介した。
最初に久保田市長が写真や映像を交えて時系列で報告した。初日を移動に費やし、2日目はカ市の前に、バレンシアにあるREDIT(バレンシア総合技術研究所)を視察。11の技術センターが集積する民間の非営利団体の関係者から話を聞き、宇部市の中小企業のヨーロッパ市場進出への可能性を探った。
今秋の姉妹都市提携に向けた誓約式出席のために訪問したカ市では、バスを降車すると、早々にアンパロ・マルコ市長らの出迎えを受けた。市庁舎前では地元の吹奏楽団による宇部市民の歌の演奏があり、「海外で初めて市民の歌を聞き、感激した」と歓待ぶりを紹介。議場で厳かに行われた式の様子も語った。
世界で最も歴史のある野外彫刻展「UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)」の知名度アップとグローバル展開を目指してバルセロナ現代美術館を訪問したこと、共生社会ホストタウンとしての研究のためドイツの視覚障害者教育の先進校を視察したことなど、3日目以降も精力的に行動したことを報告。「時間的にぎりぎりのスケジュールだったが、有意義な訪問だった」と締めくくった。
杉山孝治市議会議長はカ市との選挙制度の違いや今後の交流について「行政、市民それぞれができることを整理し、一体となって進めていく必要がある」、安部研一宇部商工会議所会頭はREDITが企業のヨーロッパ進出の方策になるとし「姉妹都市提携は大きなビジネスチャンス」と語った。
市民訪問団の上原純造さん、永山千寿子さん、藤井茉莉さんもそれぞれの立場から、1週間の思い出や成果を述べた。仕事の一環として参加した藤井さんは「REDITは、非営利団体でありながら最先端の研究開発を手掛け、さらに多種多様な分野の窓口が一つになっていて興味深かった。カ市に進出するかどうかは分からないが、このような相談機関があることが分かったのは大きな収穫だった」と話した。