9番河村勇飛選手(3年)は、二回2死一、二塁の好機で打席へ。2ボールからの3球目、直球を振り抜くと、打球は左前に達し、憧れの甲子園で2点先制の適時打を放った。
厚狭中出身。宇部鴻城の練習の厳しさは覚悟していたものの、なかなか試合に出られずもどかしい日々が続いた。辞めようと思った時もあったが、周囲に支えられて今夏は主力の外野手としてベンチ入りした。
山口大会では途中交代した試合が多く、甲子園では「フル出場してみせる」と奮起。この日5打数3安打3打点の大活躍で勝利に貢献した。
スタンドでは、兄で宇部商高野球部OBの修平さん(37)が弟の勇姿を見守った。修平さんは1998年夏の甲子園に三塁手として出場。試合は大接戦の末延長戦にもつれ込み、十五回にサヨナラボークで豊田大谷(愛知)に敗れた。「あの時の記憶は鮮明に残っている。弟には優勝を目指して悔いなく戦ってほしい」。兄から託された思いを胸に、さらなる飛躍を誓う。