人工衛星と衝突の危険性がある宇宙ごみ(スペースデブリ)を監視するために、防衛省が山陽小野田市埴生にある海上自衛隊山陽受信所跡地(13万4300平方㍍)に宇宙監視レーダーを設置する計画が明らかになった。
宇宙ごみのほか不審な衛星を監視し、人工衛星への衝突を事前に察知しようというもので、県や山陽小野田市への事業説明では、2023年度からの運用開始を目指したいという。
防衛省中国四国防衛局(広島市)は、21日午後7時から埴生公民館で住民説明会を開き、計画への理解を求める。
宇宙空間は測位、通信、気象観測などに活用されるなど国民生活にとって有用であるだけでなく、安全保障基盤としても重要な役割を担っている。人類が宇宙開発を開始して半世紀以上がたち、この間に多くの衛星やロケットが宇宙空間に投入された。
一方、衛星などが役割を終えたり、故障あるいは互いに衝突したりして破片が宇宙ごみとして地球の周回軌道を回っている。運用中の人工衛星や宇宙ステーションに衝突し、機能を喪失する危険性が高くなっている。
こうした状況を踏まえ防衛省や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの関係政府機関が、2015年に宇宙開発戦略本部で決定された宇宙基本計画に基づき、宇宙状況監視の運用体制を早急に構築するよう目指している。
宇宙監視レーダーはこの一環として新しく設置するもので、防衛省は1年以上前から具体的な開設場所を検討していた。電波を遮る山などの障害物が少なくレーダー機能が十分に発揮されることや、天候の影響が少ない、自衛隊施設であることなど総合的に判断して、市埴生地区にある海上自衛隊山陽受信所跡地(山陽自動車道埴生インターチェンジ南側)が候補地に選ばれた。
計画ではレーダー施設は、アンテナ直径約15~40㍍の複数のパラボラアンテナで構成。電波には熱作用や刺激作用があるが、上空に向けて照射するため人体への影響はないという。主に静止軌道上を回っている人工衛星やその周辺を継続的に監視し、宇宙ごみとの衝突などを事前に察知するために運用するという。
夏以降、中国四国防衛局から市や市議会への事業計画の説明があり、市は設置場所周辺の埴生小学校区の住民約1500世帯に説明会の案内をした。